ネパールのSNS規制が強化へ|最新情報と旅行者・企業への影響まとめ
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ネパールのSNS規制が強化へ|最新情報と旅行者・企業への影響まとめ

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2025年、ネパール政府はFacebookやInstagram、YouTube、X(旧Twitter)といった主要SNSを遮断し、国内外で大きな話題を呼びました。これは、登録を行わないまま運営されているSNSを監督下に置き、透明性と責任を確保する狙いによるものです。しかし、この動きはネパール国内のユーザーだけでなく、日本からの旅行者や出張者、さらには現地に進出している日本企業にも少なからぬ影響を及ぼします。


本記事では、ネパールのSNS規制の背景、法制度の詳細、政治的文脈を整理したうえで、日本人旅行者や企業が直面する課題と実践的な対応策を解説します。


ネパールで相次ぐSNS規制と遮断の最新状況


ネパール政府は2025年9月、未登録のSNS事業者を対象に通信規制当局を通じて遮断を実施しました。これにより、Facebook、Instagram、YouTube、X(旧Twitter)といったグローバルな主要SNSが利用不能となりました。一方で、登録済みのTikTokやViberは利用が継続されており、規制の線引きが鮮明になっています。


特に日本人旅行者にとって重要なのは、普段からよく利用しているSNSやサービスがどれほど影響を受けるかという点です。


  • LINE:日本国内で最も普及しているメッセージアプリですが、ネパールでの登録状況は不明確であり、接続が不安定になる可能性があります。

  • X(旧Twitter):遮断対象となっているため、現地から直接アクセスはできません。

  • YouTube(Googleサービス):遮断対象。動画閲覧や情報収集が制限されます。

  • Google検索・Gmail:記事執筆時点では遮断リストに含まれていませんが、今後の規制次第では利用制限の可能性が残ります。

  • Facebook/Instagram:遮断対象。旅行中の発信や現地情報の取得が難しくなります。

このように、日本で日常的に使うサービスの多くが遮断対象に含まれているため、旅行者にとっての影響は非常に大きいといえます。


ネパールのSNS規制の法的背景


ネパールの規制は2023年の「ソーシャルメディア運用管理指令」と2025年に国会へ提出された「ソーシャルメディア法案」によって支えられています。2023年の指令では、SNS事業者に対し国内登録を義務付け、苦情対応窓口や監視体制の設置を求めました。これに従わない事業者は遮断の対象となる仕組みが導入されました。


さらに2025年の法案では、登録制をライセンス制へと格上げし、有効期間を2年と定めました。違反した場合には250万〜1000万NPRの罰金やライセンス取消、通信遮断といった強力な制裁が可能となります。ユネスコはこの法案に対し、国際人権基準との整合性を求める勧告を出しており、ネパールの動きは国内統制だけでなく国際的な評価にも直結しています。


ネパールのSNS規制が旅行者に与える影響


日本からの旅行者にとって、SNS規制は日常の利便性を大きく制限します。特にLINEやXを連絡手段として利用している人は、現地で家族や友人と気軽にやりとりすることが難しくなるでしょう。YouTubeで観光情報を探したり、Google検索で現地の最新情報を得たりする行動も制約を受けます。


旅行者が取るべき基本的な対策としては、まず現地で利用可能なSNSやメッセージアプリを事前に準備することです。例えば、Viberはネパールで広く使われており、遮断されていないため代替手段として有効です。また、連絡手段を一つに頼るのではなく、メールや通話、現地SIMを活用するなど複数の選択肢を持っておくことが重要です。


VPNを使えば遮断を回避できる可能性がありますが、ネパール政府は無分別なVPN利用に警告を発しており、法的にグレーな部分も残されています。そのため、旅行者はVPNに頼らず、正規の利用可能サービスをメインに使うのが安全といえます。


ネパールのSNS規制が日本企業に与える影響


SNS規制は、日本企業にとっても看過できない問題です。現地でFacebook広告やInstagramキャンペーンを展開していた企業は、突然マーケティング手段を失うことになります。YouTubeチャンネルを使ったブランド発信も中断され、顧客との接点が希薄化してしまいます。


こうした状況に対応するためには、SNS以外のマーケティングチャネルを活用する必要があります。Google検索広告、現地向けのメールマーケティング、あるいはSMS通知といった手段が効果的です。また、遮断対象になっていないSNSや現地で普及しているプラットフォームを利用することも、リスク分散として有効です。


さらに、将来的に施行されるライセンス制を見据え、現地パートナーと連携し、登録やライセンス取得の準備を進めておくことが望まれます。法的要件を満たすことで、突然の遮断リスクを避け、安定した事業運営を継続できる可能性が高まります。


ネパールのSNS規制をめぐる政治的考察


ネパール政府が規制を強める理由には、匿名アカウントによるフェイクニュース拡散、オンライン詐欺、資金洗浄といった治安上の課題が挙げられます。しかし同時に、この規制は政治的な統制強化の側面も持ち合わせています。


国内外のメディア団体は、規制が過度に強化されることで表現の自由が制限され、民主主義の根幹を揺るがす危険性を指摘しています。市民社会も透明性と比例性を求めており、政府がどの程度バランスを取れるかが今後の焦点となります。


チェックしておくべきWebサイト・情報源


SNS規制の状況は流動的であり、旅行者や企業は常に最新情報を把握しておく必要があります。信頼できる情報源を定期的にチェックすることで、不意の遮断や法改正にも柔軟に対応できます。


  • ネパール通信規制庁(NTA)公式サイト規制や遮断措置の公式発表が掲載されます。法令の更新情報も確認可能。

  • ネパール政府 情報通信省(MoCIT)公式発表SNS事業者の登録要件やライセンス制度に関する最新情報が出されます。

  • Kathmandu Post、Himalayan Times など現地主要メディア規制に関する市民の声や実際の影響、政治的背景を報道。旅行者向けのニュースも掲載されます。

  • ユネスコやAccess Nowといった国際NGO・国際機関規制が国際的な基準と整合しているかどうか、第三者的な視点での評価を提供。

  • 在ネパール日本国大使館 公式サイト渡航者向けの注意喚起や最新の安全情報が更新されます。日本語で情報が得られるため、旅行者には必須。

  • 日本の外務省「海外安全ホームページ」ネパールに関する最新の渡航安全情報、治安、通信事情をまとめています。


これらのサイトをブックマークし、旅行前や出張前にチェックすることが、リスク回避の第一歩です。


まとめ


ネパールのSNS規制は、国内秩序と安全を守るための政策である一方で、旅行者や企業にとって大きな不便やリスクを伴います。旅行者は現地で利用可能なSNSを準備し、複数の連絡手段を持つことが重要です。企業にとっては、SNS依存からの脱却を図り、公式Webサイトや検索広告、SMSなどの代替チャネルを整備する必要があります。


日本人がよく使うLINE、X、YouTube、Google検索といったサービスが影響を受けている以上、この問題は「遠い国の話」ではなく、実際に自分事として考えるべき課題です。ネパールに渡航する前や現地での事業展開を検討する際には、必ず最新の規制状況を確認し、柔軟に対応する姿勢が求められます。

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